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最高裁判所第二小法廷 昭和50年(オ)837号 判決 1975年12月19日

主文

理由

上告代理人石黒武雄、同山崎巳義の上告理由第一点について

詐害行為の成立には、債務者がその一般の債権者を害することを知つて法律行為をしたことを要するが、必ずしも特定の債権者を害することを意図し、又は意欲してこれをしたことを要しないと解すべきであり、この理は、右債務者が連帯保証債務を負担するものであり、その債権者が当該詐害行為の取消しを求める者である場合であつても変わりがないものというべきである。したがつて、原判決が「無資力の債務者渡辺武近がその叔父、義兄に当たる上告人らと本件不動産について本件抵当権の利息の特別登記契約を締結するにつき、右契約に基づく登記を経由することにより被上告人その他の債権者の債権を害することとなるものと認識してこれをしたことは明らかである」と判示したのは、正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第二点について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠及び説示に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 大塚喜一郎 裁判官 岡原昌男 裁判官 吉田 豊 裁判官 本林 譲)

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